突然の旅人

大した話でもない黒坂修のアホ旅日記

沖縄について4





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那覇国際通りには当然「節電」を考えている人間はいない。東京の暗さに慣れつつある目にはもはや驚くべき明るさである。沖縄のゴルフ場は、平日で、しかも台風の嵐の中でも満員だし、ともにラウンドした沖縄人は、誰も「やめますか」とは言ってくれなかった。90ヤードの強烈なアゲインストの風にピッチングで打った球が、こちら側に押し戻されて、グリーンと反対方向へランして来るのを俺ははじめてみた。俺は物事をやや大げさに言ってしまう癖があるが、これは本当である。暴風雨の中、沖縄人は笑っていた。夜の盛り場、松山では、ガンガンにクーラーをきかせた店でうまいものを食って大酒を飲み、クラブには美人ホステスのお世辞が溢れていて、俺は何曲も歌ううち、「かつてあった真っ当な過ごし方」を思い出しどんどん元気になって行くのがわかった。今回も沖縄に救われた。

それにしても東京の「節電ムード」は異常である。要するに昼間のピーク電力を抑えることが必要なのだ。駅や空港などの公共施設で、常にエスカレーターを止める、明かりを暗くするなどはもってのほかだ。朝夕の満員電車の冷房を弱めて蒸し暑くするなどは暴力犯罪に等しい。体の弱い人や年寄りは出歩くなということか。夜の街や道路を暗くしてなんの意味があるのだ。みんな意気が上がらず、経済活動にも大きなマイナスだ。あちこちで「便乗節電」がはびこっている。この機に乗じて、節電の御旗のもと、電気代を節約しようとしている企業は火事場泥棒と同じくらい下劣な存在である。どこかの雑誌の言葉を借りれば「節電ファッショ」である。それにしても一番始末が悪いのは、節電を公衆道徳化して語る輩である。あなたの会社にも、ちょっとクーラーをつけただけで非国民呼ばわりするような人物がいるはずであり、奴らには悪意がないので一層たちが悪い。「あんたら、違うんだよ!」

話が沖縄からそれた。写真①は、かつては栄えたがいまはシャッターストリートとなってしまった沖縄市(コザ)の中央パークアベニュー。日本一のタコスを食わせる「チャーリータコス」本店がある。②は、前々回に書いた、アメリカ人デブ女が集まる北谷町のステーキハウス「フォーシーズンズ」。デブ女たちは一人で300〜400gの肉を食う。③は那覇郊外の汽水湖漫湖」…なぜ、このような発音するにはばかられる名前がついたのか俺にはわからない。④⑤は、沖縄南部の漁村、港川。日本人のルーツと関係すると言われる1万8千年前の港川人骨が発見された有名な港川である。しかしそれを活かすことなくこの有様である。もちろん俺はこの有様が嫌いではない。婆さんの顔を見てほしい。縄文人そのものである。
 沖縄戦激戦地であった南部には今も隔絶された時間が流れているように感じる。大規模リゾート開発はいまだに行われず、海に向かって延々と続くサトウキビ畑には、何もなかったかのように1日1日、日差しが降り注ぎ、ざわざわと風が吹き抜けていく。