突然の旅人

大した話でもない黒坂修のアホ旅日記

日本一の桜


4月24日夕刻、日本一の桜名所と言われる青森・弘前公園を地元の会社の65歳なのにリーゼント頭の社長さんに案内されて訪れた。


弘前城や内堀外堀の水面や津軽富士を背景に2600本がこの日満開となっていたのである。「満開をこんな快晴の夕方に観るのは今日だけですよ。明日から雨なので。黒坂さん、計ったように来たねえ。」とも言われながら1時間かけて弘前公園を一周した。正直に言って、「桜がたくさん咲いているところ」くらいの認識でやって来たのだが、それはとんでもない誤りであった。やはり世間というものは舐めてはいけないのである。弘前の桜は「桜守」(さくらもり)という樹木医が、同じバラ科のリンゴの木の栽培技術を取り入れて一年中剪定やら何やらの世話をしているからこそ特別な美しさを持っているそうなのである。

弘前の桜は花にボリュームがあり色彩が鮮烈である。また、剪定により枝を横に広げて低木とし目の高さ近くに圧倒的な花々が迫るのである。俺はバラを育てているので日頃の管理で花の色や形が際立つことを少しは知っている。


その夜、男4人で上がった弘前の料理屋の座敷には盛り上げ役として地元ではやり手で有名らしい五月みどりが小さくなって太ったような水商売のおばさんが用意されていた。酒が進みくだらない話で笑い合いながら俺は「ところでさ。ママは社長の同級生かなんかなの?」と言ってしまったのである。ママの目が吊り上がるのを見て俺は「そんなわけねえよなあー。会話がなんかそんな感じだからさあー。」と言ったが遅かった。その後、車で青森へ移動しホテル近くのバーに寄った。ここも遊び人のリーゼント社長の馴染みであり、ママは50代半ばと思われる地元オヤジのファンが多いらしい篠ひろ子似の美人だった。カラオケをやりながら俺は「ママはさー、やっぱり昔はモデルとかやってたんじゃないの?」とサービス精神のつもりで言ったのだが「昔、が余計だよ!」と怒られることになった。勿論おばさん達はいずれも本気で怒ったわけではなくその後それにより会話はより親密に盛り上がったわけではあるが、俺にはわからないのである。なぜ女はそこまで自分の年齢を気にかけているのだろうか。50だって60だって70だっていいじゃないか。俺は今後も水商売のおばさん達に悪気なく正直に「孫いるの?」などと言って怒られ続けるだろう。