突然の旅人

大した話でもない黒坂修のアホ旅日記

スーパーフライヤーになる

俺はANAのスーパーフライヤーズカードを所有している。昨年、仕事を中心にたくさんANA便に乗ったので、今年ANAからご褒美として授与されたのである。こいつの効力は絶大だ。羽田ではどんなに保安検査場が混んでいても専用の検査場からスイスイ入場できてしまう。成田ではエコノミーチェックインカウンターが長蛇の列になっていても、ガラガラのビジネスカウンターでチェックインでき、席があればエコノミーチケットをその場でプレミアム席に替えてくれる。搭乗口では真っ先に乗り込むことができる。到着空港では国内でも海外でも預けた荷物はオレンジのリボンをつけられて真っ先にターンテーブルに乗せられてくる。ANAと提携している数多くの外国航空会社でも同様のサービスを受けることができる。
そしてこれらは混雑や順番待ちでイラついている一般客の目の前で見せびらかすことができる。同行者1名もほとんど同じサービスを受けられるので、「どうだ、俺はカッコいいだろう。俺のおかげでいい思いができただろう。」というでかいツラもできる。
それにしてもこいつを獲得するまでの道のりは容易ではなかった。国内線なら、1年間に羽田ー福岡を25往復以上する必要があり、国際線ならエコノミーの先割で成田ーニューヨークを6〜7往復以上する必要がある。1年間でこれを達成するのは極めて難しいのであるが、俺は去年こいつにパスしたのであった。
そして、もう一つの大きな特典は国内外の空港にあるANAと提携外国航空会社のラウンジを利用できることである。

上はANAのラウンジでありJALも同じようなものである。
下はユナイテッド航空のラウンジである。

どちらが素敵で安らぎそうだろうか。90点と赤点すれすれの50点の大差でユナイテッドの圧勝である。無味乾燥なオフィスビルのような内装と5つ星ホテルのような優雅な内装デザイン。なぜここまで差がつくのだろうか。
こうしたことは、日本の新しい建築物全般に言えることである。以前、虎ノ門ヒルズがいかに画一化されたつまらないデザインであるかを書いたが、東京のビルというビル、オフィスビルもホテルも、それから今話題のマンションも、一部の例外を除いてすべてデザインに突出したおもしろ味や美しさがなく、万人に嫌われることはないが特に愛されることもない最小公倍数の範囲内に収まっている。プラウドマンションも、ガーデンヒルズもみんなつまらない。都心の新しい大規模複合ビルの中には決まって和モダンを醸し出す竹が植えられている。俺はあの竹を見ると、失敗と言われることだけはないようにまとまったサラリーマン集団の顔が浮かんでくるのである。
話を空港ラウンジに戻すが、先日上海の中国国際航空のラウンジに入ってみた。驚いたのは、食べ物飲み物の豊富さである。点心類、焼きそば、チャーハン、野菜炒め、サンドウィッチ…。タダの食い物が大好きな俺は大量の焼きそばを食い、その後機内で出された上品な弁当を食うことができずに失敗した。ANAラウンジは無味乾燥な内装であり、食べ物は食事時でも機内で出されるのと同じような煎餅だけである。航空会社のサービスは万人が目にする国際競争力の象徴である。