突然の旅人

大した話でもない黒坂修のアホ旅日記

花咲おじさん

俺の住まいのベランダを見ていただくことにしたのである。
このエリアは、左から木バラ、隣はやや日陰となるのでベゴニアとインパチェンスプランター。右上はサフィニアの園芸種、赤とキャメルのミリオンベル。バラ以外は春から晩秋まで、8ヶ月間咲き続けてくれる。

木バラは2月に丸坊主の小さな苗木を買い、6月にようやく咲いてくれた。バラは水遣りや施肥、剪定や摘芯や摘蕾などなど、鉢植えを綺麗に咲かせるのは簡単ではない。すぐ病気になるし害虫もやってくる。しかし、咲いた時の嬉しさは格別であり、気品を湛えた美しさはやはり花の女王である。


つるバラもやっている。赤の大輪が咲き終わり、再び新芽が出て成長を続けている。
俺は10年くらい前からこういうことをやってみたかったのである。
俺の1日は花の状態の点検、水遣りから始まる。そのあと、花に囲まれたベンチに腰掛けて風を受けながらタバコをふかすのが心地よい。夜も点検する。先週は泥酔して帰宅し、点検のあと、フェンスに身を預けて地上を見下ろしているうちに頭を地上に垂らしてそのまま明け方まで眠ってしまった。

同じベランダでも1日に陽が3時間当たる所と6時間当たる所、全く当たらない場所もあり、失敗を重ねながらそれぞれの花の好みに合わせて配置してきた。水遣りの頻度、施肥や切り戻しのやり方もそれぞれ異なる。
だから面白いのである。
枯れたり元気が無くなったり、反対に元気になったりガンガン咲き始めたりには必ず理由がある。理由なしに枯れたり伸びたりはしない。原因があって必ず結果がついてくる。理由や原因を突き止めたり対応するのは時に容易くないが、工夫したり親身に世話をすれば必ずや応えてくれる清々しさ。これは、ゴルフや麻雀や釣りと似ているのである。ゴルフや麻雀で、誰も見てねえからちょっとずるくてもいいだろう、などとやると、その後必ず不運がやってくる。・・ちょっと違うか。

アメリカ人が書いた「7つの習慣」みたいな本には、人生についても、原因があって結果がついてくるようなことが説かれている。
俺は全く違うと思う。
世の中、理由なく不運な人や不幸な人や希望を持てない人だっているのである。
話はだいぶ逸れたが、ベランダ園芸は人生と違って原因があって結果があり、結果は美しさのいやしであるから楽しいのである。
俺は将来、本物のジジイになったら首都圏には暮らすが、車で1時間半程度の人気のない中途半端な田舎 (例えば房総半島中部の陸の孤島エリアとか東名高速・秦野中井インターから丹沢山系へ向かう丘陵地など) に小屋と100坪位の土地を持ち、〜ここは築山と小さな東屋があって水路に桜や紅葉が映える和風エリア〜ここは様々なバラが微笑んで白い椅子とテーブルが気持ち良いイングリッシュガーデン風〜あちらはアルハンンブラみたいなイスラム庭園風・・・好きな景色の箱庭を、歩けなくなるまで造り続ける・・・さらに毎日温泉を掘り続けて究極の庭園露天風呂をつくってしまう。必ず絶賛することを条件に友人にも貸してあげる。
夢はいくらほざいてもタダなのである。