突然の旅人

大した話でもない黒坂修のアホ旅日記

50、60男はカメラと紅葉好き

スマホカメラに圧されてデジカメ業界の不振が続いている。小型軽量高品質を謳ったミラーレス一眼も欧米や中国では売れていないようである。一方、国内での購入者については50代60代は伸びている。業界団体の調べでは昨年の全購入者の半数以上は50代60代でありやはり圧倒的に男が多い。かく言う俺も今年だけで3台も買ってしまった。一つは広角から望遠まである程度はカバーするレンズがセットになったソニーの一眼、もう一つはライカのレンズがついたパナソニックのハイエンドコンパクトの中古、さらにはケースもなしで常にカバンに放り込んでおくWiFi付きニコンの安物。そしてもう一台、オリンパスのミラーレス一眼を持っているので全部で4台である。
それなのに、俺は毎日のようにAmazonのカメラコーナーを眺めている。それほど趣味にしているわけでもないのに、なんでこんなにカメラを所有したいのだろうか。最近、東大寺での儀式で出会った60代後半の社長さんは「ある年齢になると何故か男はカメラを買い始めるんですよ。」と言っていた。


世田谷、豪徳寺井伊直弼の墓もある井伊家の菩提寺である。11月8日はまだちょっと紅葉には早かった。明日は川崎生田緑地の日本民家園の紅葉を観に行く。日本の紅葉は世界でもトップクラスの美しさなのだそうだ。日本には紅葉する落葉広葉樹が26種類あり北米やヨーロッパには13種類しかない。だから色彩の数や濃淡が豊かな紅葉が日本にはあると言う訳だ。およそ100万年前から地球に数回訪れた寒冷期により北米やヨーロッパでは広葉樹のバリエーションが抑えられ、温暖多湿でありながらはっきりとした四季があり土壌が肥沃な日本では種類が豊富になったのだそうである。では、日本と同じような緯度にあり温暖で四季がある東アジアやニュージーランドや南米中緯度地方はどうなのか。
それは知らん。
ブエノスアイレスや北京の紅葉が素晴らしい、とは聞いたことがないのでたぶん日本が一番なのである。
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ここから翌日

川崎市立日本民家園は東名高速川崎インターから約10分。広大な生田緑地の中にあり、17世紀後半からの古民家や農村歌舞伎舞台など20数軒の建物が移築・修復され里山風に自然な形で佇んでいた。ここも紅葉の盛りにはまだ二週間ほどは早かった。しかし、いずれの建物も中まで入って当時の暮らしを偲ぶことができるし、森の園路には道祖神や水車小屋や観音様まで移設されていてなかなか心癒される野外博物館であった。

やはりここも訪れる人の多くは高齢者であり、写真のように古民家の軒先でみんなで藁細工を作るなど、楽しそうにやっていた。藁細工の老人グループとは別に、俺は森の中で驚くべき集団に出っくわした。70過ぎた爺さん婆さん20人ほどが整然と行進して行くのだが、全員キャノンかニコンの一眼レフを首からぶら下げていたのである。多くは望遠をつけているので、腹から筒が生えてしまった…いや、腕が三本か足が三本ある老人の集団が迫って来るように見えたのである。
普段行かないようなところに足を運ぶと発見がある。カメラ好きは初老男だけではなかったのである。婆さんのカメラ好きも多いのである。カメラ業界資料によると一眼レフだけは女性購入者が増えているようなのだが、それは婆さんの仕業であったのだ。


日本民家園の紅葉の盛りは素晴らしいはずである。俺は10種類以上は落葉広葉樹があることを確認した。12月頭に再訪する。