突然の旅人

大した話でもない黒坂修のアホ旅日記

スポーツクラブは好きではない

俺はこの夏、田園都市線某駅近くのスポーツクラブに入会したのである。3年前にも入ったがすぐやめた。辛抱強くエアロバイクを続けたり、苦しみながらマシンに取り組んだりするのがとにかく苦痛だったのである。・・しかし、長年の不摂生と運動不足により筋肉の硬化が急速に進行しているようなのである。6月には大阪でゴルフ場の下り斜面を駆け下りて、右ふくらはぎに肉離れを起こしながら再びスイングして転倒し頭から斜面を2m滑り降りるという醜態を演じて笑をとった。ここ1年ほどは首と肩と腰が凝ってしょうがなく、会社近くの中国人がやっている「なごみん」というマッサージ店に毎週のように通う状態なのである。(ここの中国人のおばさんたちは腕は確かで朗らかである)
話をスポーツクラブへ戻すが、この写真に何を感じるだろうか。


俺はここへ来る度に驚いている。大抵は日曜の夕方であるが、客のほとんどが爺さんなのである。爺さんも爺さん、70歳前後から上の本物の爺さんで溢れているのだ。ここの風呂は熱海からタンクローリーで運ばれる温泉なので、風呂だけ浸かりに来る爺さんも多く、およそ3m四方の浴槽に入ると数人の爺さんに囲まれることになる。爺さんどもは苦虫潰したような不機嫌なツラで黙って浸かっていてこっちを窺っている。俺だってあと三年半で60になるのだが、この浴槽の平均年齢は70に達しており、そうなると何故か自然と世代間の憎悪の視線が交わされ出すのである。


爺さんどもはこんなに鍛えてどうする気なのだろうか。今さら女にもてたいとは思わないだろう。
とにかくこのジムには20代30代がいない。爺さん中心であるが、婆さんも多い。たぶん若い人は怖くてここの風呂には入れないのではないか。50代後半の俺が居心地の悪さを感じるのだから若者はビビるだろう。
高度高齢化社会団塊世代が70近くになり、六本木の美術館も浅草の天麩羅屋も紅葉の高尾山も、東京のあちこちが高齢者で溢れ出して来た。街の片隅のジムも例外ではなかったのだ。そういう俺も他人事ではなく、少し前なら「初老」と言われる年代だろう。「初老」はあまり聞かない言葉となり、「今は昔より10歳は若い」などとも言われるが、それでも昔と同じような年齢で人は死ぬ。時代の雰囲気に流されているのか、俺には分別盛りらしい落ち着きや洞察の力はなく、来し方を振り返ることもせずに40代のような気分で刹那を生きている。
今日は不機嫌な爺さんどもを見過ぎたらしい。