突然の旅人

大した話でもない黒坂修のアホ旅日記

ホーチミン4


今日医者に行ったのである。強烈な腹痛には、やはり食中毒の判定が下った。何菌によるものなのかは5日後にわかる。ホーチミンの街中を歩いていればこういうことにはならない。やはりメコン川河口域の中州島というウイルスの巣窟を俺は甘くみていたようである。医者の先生は、「赤痢などではないですよ」と言っていた。

俺には腑に落ちないことがある。9時30分成田発ホーチミン行きのベトナム航空と日本航空は共同運航便である。要するに同じ飛行機である。客室内でも同じサービスを受けることになる。それなのにベトナム航空を買うと9万円で日本航空を買うと20万円なのはなぜだろう。俺はベトナム航空を買ったので文句はないのであるが、この場でそれがわかったJALチケット客がいるのだとすれば、その落胆は想像にあまりある。
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ホーチミン中心部にある「ゴールデン.ロータス.マッサージクラブ」は素晴らしかった。90分コースは2500円ほどであり、爪先から脳天まで超絶技巧のマッサージが行われる。その間マッサージ嬢は余計なことは一切言わず、終盤には格闘技の試合のように疲労で息が切れているようであった。

ベトナム名物「水上人形劇」である。メコンの濁流と同じ色をした水の上で展開される素朴な人形劇。どうやって操っているのだろうなどと薄く考えていると穏やかな心地よい眠気が訪れる。


ホーチミンは想像以上に癒される街であった。東南アジアの中では、香港・マカオ、上海、バンコク、クアラルンプール、シンガポール…のような急激な発展の気ぜわしさやガツガツした表情がなくおっとりしている。共産党一党支配の社会主義国でありながら、街中で警官が威張っている風は全くなく、逆に警官やパトカーをまず見かけない。ホテルや飲食店のサービスは控えめながらも不愉快さがなく落ち着ける。口うるさそうな奴や出しゃばりそうな奴や腹黒そうな奴を見かけない。街全般の景色は中国文化がゆるく基調となっており、そこにフランスが遺した建造物と熱帯植物の木陰がコントラストをなしている。原色は少なく多くは淡いピンクやクリームやミントグリーンのイメージ。木工雑貨や陶器、織物など、材質デザインがよく、アジアン雑貨好きには堪えられない街だろう。
いつか世界を放浪することがあれば、2〜3週間滞在してみたい街である。