突然の旅人

大した話でもない黒坂修のアホ旅日記

銀色の海と原野の誘惑…利尻島その2

昨日は利尻島から乗船したフェリーで予期せず中国人どもに出っくわした興奮でまともな旅の報告ができなかった。
下の写真は稚内からサロベツ原野を貫き最北の日本海沿岸に伸びる道路であり、オホーツク沿岸道路と共に北海道の道の中でも特に素晴らしい。俺は去年の5月にこの道路をはじめて走り、日本海に浮かぶ島そのものが富士山のような、雪化粧の利尻島の美しさに感嘆したのだった。そして、今回、10月の3連休にマイレージで乗れる路線が羽田ー稚内しか空いてなかったこともあり、利尻を中心にサロベツ原野、稚内周辺の旅を敢行したのである。それにしても、稚内を起点とするこのエリアは他では見られない植生の雄大な自然があり、食い物は旨く、土地の人情は厚く、温泉も出るし混雑とは無縁である。今回は空いてなかったが全日空ホテルでも朝飯付きで6~7000円で泊まれるほど物価も安い。

稚内空港に到着するとまずこの看板が眼に飛び込んできて「果ての地」にやってきた気分となる。サハリンビールは広告の通りマズい。空港を一歩出ると背が高い樹木が見渡す限り一切ない景色に驚きを覚える。

稚内から2時間弱で利尻島

利尻のレンタカーは軽でも3時間で5500円もする。沖縄なら3日で同じような料金である。俺は2時間延長し7500円を支払った。車を返しに戻り延長料金を支払おうとすると店には誰もいない。携帯に連絡すると待っていてくれと言う。結局30分待たされた。20代前半のねーちゃんは2時間延長で追加3000円だと言う。「30分も待たせておいてきっちり取るのかい」と言うと、ねーちゃんの顔はみるみる恐怖の色に染まり3000円をそのまま急いで俺に返そうとした。「全部返せなんて言ってねえよ。気持ちを表すことが大事なんだよな。1000円だけ返してもらう。」…だから7500円なのである。たぶん「交渉事」には慣れていない島なのだろう。

銀色の光を放ち続ける海は観たことがなかった。



北の最果ての島には寒々とした集落が点在しているかというとそれは大間違えなのである。オホーツク沿岸には「ホタテ御殿」が目立ったが、こちらは「利尻昆布御殿」なのだろうか。

上は利尻島の原野、下は稚内から50kmに広がるサロベツ原野の中である。今回の旅でやりたかったことは利尻島に渡ることと、本物の「原野」に身を潜めてみることだった。なぜ、360°の地平線の向こうまで続く湿地帯の「原野」に隠れてみたいのだろう。今回、寒風吹き夕闇迫るサロベツ原野の真ん中に群生するススキの中に何らか用事があり、運悪く俺と対面してしまった人がいたとすれば間違えなく驚きで卒倒しただろう。