突然の旅人

大した話でもない黒坂修のアホ旅日記

北の果て、ハートランド・フェリー…利尻島その1




日中関係が最悪である。俺個人にとってはどうでもいいことである。
俺は旅先で体験した無礼な中国人どもの話を何度も書いてきた。「ビールをくれ」と言ったら面倒臭そうに「水を飲むべきだ」と言いやがった西安のホテル女。ウイグル人に興味がある俺に対して「何であなたはウイグル人街みたいな汚いところが好きなのか?」と質問しやがったウルムチのガイドオヤジ。「悪いことをするのはたいていウイグル族チベット族です。彼らは学校にもいかないし風呂にも入りません。」等とガイドにあるまじき余計な説明をした若い女ガイド。上海空港の乗り継ぎで日本人ツアーの老人たちを、てめえらの遅れが悪いのに顎で指図していた空港スタッフ…。中国人どもの悪態の例はつきないが、俺はその都度やつらを罵倒したり、退場させたり、チップを返金させるなど、小さいながらその場でできる範囲での制裁を加えてきた。俺はいまの中国に組み込まれた地域にある偉大な歴史遺産やシルクロード周辺民族の精神文化に触れる旅が大好きなのであるが、いまの中国人=漢族の祖先がそれらを成し遂げた中心だとはまるで考えていない。今の中国の国土の西半分は主にウイグル人チベット人、北側はモンゴル人、雲南省以南にはかつては今のタイ人やベトナム人が暮らしていたのだ。秦の始皇帝楊貴妃も漢族ではないようである。…こういう話は長くなるので今回はやめておく。

さて、前置きが長くなった。俺はいま、北の最果て、北海道・利尻島から稚内へ戻るフェリーの一等座席でこれを書いているのである。二等にするかせこく迷ったあげく、思いきって一等を買ったのである。新幹線のグリーンよりいい座席と下品でないシャンデリアのある内装が心地よい。約二時間のサンセットクルーズをゆったり楽しもうとしていた、その時のことである。

ミャウミャウとかちゃんちょーとかいう変な会話が通路の方から聞こえたのである。またもや大声を発しながらやつらはやって来た。そして素早く夕日が沈む側の座席を占拠したのである。日本人客のほとんどは二等席、一等キャビン客のほとんどは中国人ども。アァ、なんという状態なんだ。フェリー会社に電話で問い合わせたとき、「中国からのかたはほとんどいません」と言ったじゃないか。尖閣問題で中国人旅行者は減ったんじゃないのか。
その後、大声で話続ける、リクライニングを限界まで倒していびきをかく、意味なく俺の横の通路に立ち尽くす…。俺はデッキに出て礼文島方向に沈んでいく夕日を寒さに震えなが眺めることになった。
中国人は世界人口の30%近いとも言われている。ついに北の果て利尻島にもやって来た。日本中で俺が中国人をみなかったのは西表島くらいになってきた。
利尻島は銀色に輝く海をもつ絶景の島だった。次は利尻島について少しはまともな報告をしたい。