突然の旅人

大した話でもない黒坂修のアホ旅日記

再びイスタンブル



1年半前にイスタンブルを訪れ、トルコ人の友人ができたことから人脈が広がり、今回はトルコ大使館が「視察」で俺を招いてくれた。トルコ人は友情や出会いを大切にする人が多い。

上の写真は、イスタンブルから車で50分。キリオスという静かな漁村から眺めた黒海である。
黒海はトルコのほか、ブルガリアルーマニアウクライナ、ロシア、グルジアに囲まれた大きな内海。中央アフリカに誕生した我々の祖先は、アフリカを脱出して中東や黒海周辺に集まり、そこから地球上の各地へ移動しながら白人と黄色人種に分化していったとも言われている。

俺は子供の頃から世界地図を眺めるのが好きだった。そして、黒海カスピ海になぜか惹かれていた。
黒海は静かに穏やかに広がっていた。ずっと、ただ眺めていたくなる…後にしがたい引力を持っていた。

2枚目は、左がキリオスまで半日8000円で雇ったタクシードライバー。右はトイレを借りたモスクの管理人である。グルジア人である管理人は俺に「日本のヤングボーイがなにしに来た」と言った。「俺は52歳だからヤングではない。」と言うとほんとうにびっくりしていた。タクシードライバーは45歳、そして管理人は41歳だった。俺は管理人に「あんたは70くらいの老人に見える」と言うとなぜか喜び、お茶を出してくれた。ドライバーは「ロシアは日本の北の島を返さない」と言い、管理人は「金のないロシア人の女が売春で稼ぎにたくさんトルコにやってくる」と言っていた。

3枚目は、イスタンブルのナイトクラブである。イスタンブルでは有名店に入らないと酷い目に遭う。現地で出会った日本人男性旅行者は、日本語のうまいトルコ人にちょっとビールでも…と言われ、店に入ったらたくさんのロシア人ホステスが出て来て法外な料金を請求され、スキをみて逃げたそうである。
俺が入ったのは「sulutanas」という有名店。トルコ人の「おたく」オヤジが独りで来ていて、ダンサーが登場すると、舞台前まで行って写真を撮りまくる。ダンサーが引くと、席に戻り、カッパハゲをなでながら黙って飲み続けていた。俺の隣席も小柄でデブのカッパハゲ。ずっと黙っていたが、突然俺を見て微笑み、まだ口を付けていない自分のフルーツカクテルをそっと俺の前においた。
俺は礼を言い、急ぎ店を出た。