突然の旅人

大した話でもない黒坂修のアホ旅日記

銃・病原菌・鉄

この3連休はダイワロイネットホテル横浜関内というところに2泊し、塩野七生の「マキアヴェッリ語録」とジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」上下を読んだ。
まず、ホテルについてだが、昨年末11月にできたばかりであり、綺麗である。何よりデスクが広く読書に向いている。しかし、スタートしたてのキャンペーンで1泊7000円という料金もあってか、20才前後のガキカップルが目立ち、感じを悪くしていた。同程度のホテルではどこもそうであるが、最近特にこういう奴らが多い。エレベーターに乗ろうとして、3組みの子供みたいな顔がキョトンと並んでいた時は叱ってやりたい気分にもなった。「お前ら若いんだから、やりたいのはわかるが、簡単にくっついたりせずに、もっと悩んだりして孤独に自分を見つめろよ。」…52才の俺の若い頃は、全てがもっとグレーゾーンにあったような気がする。「はい。私たちはカップルで、これからSEXをするんです。それが何か‥」みたいなわかりやすい奴らはあまりいなかった。そういう奴がたまに出現すると、例えば罵倒される、殴られるなどの集団的矯正が行われたりしたものだ。…若いうちの精神的な放浪がないと、創造的な仕事や生き方、また、清濁あわせ飲む処世術などあり得ないだろう。
「銃・病原菌・鉄」は世界が如何にして現在のような秩序に至ったかを氷河期以降の1万3千年の人類史を学際的に辿ったピュリッツァー賞受賞作である。著者の前書きに反して、やはりメソポタミアの肥沃三日月地帯に発した文明が強大な西洋文明へと連なり、現在の世界地図を形作って行ったというストーリーの骨格はこれまでの西洋人の歴史観から抜け出すものではない。しかし、古代のメソポタミアとその周辺には小麦、大麦の原種が自生し、また、牛、豚、羊、山羊、馬という家畜の原種がもともと野生していたという事実とそれがもたらしたであろう詳細な仮説…。家畜が天然痘、インフルエンザ、結核などの疫病を人類にもたらし、原種が存在せず家畜を16世紀に至るまで持たなかった南北アメリカの先住民たちにはその免疫がなく、コロンブス以降、わずか数十年で先住民は疫病の大流行で95%死に絶えたたのであり、スペインの残忍な軍隊が虐殺したのは何千万人ではなかったという事実など、新たな理解とイマジネーション喚起をもたらしてくれる大作であった。
ところで、トルコ大使館から「イスタンブル視察団」への招待状が舞い込んだ。1年半前にイスタンブルのバザールで財布を盗まれたことから現地のトルコ人お土産店主と知り合いとなり、そこから人脈の輪が広がってトルコの友人が増え、ついに今回は国が招待してくれるという。…うひひ。